MEMORYS  2005年6月〜12月
ここまでのタイトル「ひとこと日記」。以降「つれづれ雑記帖」。




12月30日(金) きょうから明日へ、次なる年へ

  毎日、大量の雪が降る。だから、雪が真っ白だ。
  新雪の美しさを堪能している。

  めずらしく、少し早めに年賀状を投函した。
  文字だけの至極シンプルなもの。
  
  先週、4日間だけ、それも午後の4時間だけ開催した「5周年・ちいさなアート展」。
  お客様は、新聞の折込チラシを見てのぞきに来てくださった近隣の方々、10人ほど。
  それでも、期間中、なんとも深い満足感があったのはなぜだろう。
  このスタジオは、この5年間に、多くと出会った。
  たくさんの利用者の、声や言葉、呼吸、汗、感情。
  音や光、色彩や時間、すでに想い出までもはらんで
  しっとりとした空気感が備わった。壁の汚れも空間の深まりの現れだ。
  そんな感慨をかみしめた4日間だった。

  1年が終わろうしている。新しい年は来るだろう。
  未知の時間は、夢や期待に満ちている、というわけにはいかないが
  なぜか今年は、ひとつ、ことが終結して、次のステージへ進むのだ、
  という気分がある。
  今年はいくつもの訃報にあったし、四方八方、荷の重い課題が山積している。
  でも、「ああ、良かった。人間って素敵だ。」と思える瞬間は、けっこうある。
  それをだいじに味わいながら、しっかり人間を見つめて仕事をしようと思う。
  
  先日の道新によれば、1年の終わりは大晦日の日没だそうで、
  だから、31日の夕食は新しい年の初めの食事として、大切なのだそうだ。
  さて、きょうから明日へ、年越しの準備をはじめましょうか。
  今年も1年、ありがとうございました。  


12月16日(金)  おかげさまで5周年。さて、これから。

  今週で年内の大学講義を終了。
  学院大は、10日に講座受講生によるワークショップ修了発表を行い、
  年内残り2回の講義の振り替えとした。
  
  4日、古澤巌のダンシングフィドル。アイリッシュの魅力は多彩。
  
  9日、高橋悠治のピアノ、斎藤晴彦の歌で、シューベルト「冬の旅」。
  こごえるような寒さ、暗さのなかで希求する春、陽光、恋の夢。
  なるほど芝居だ。パトスのベーゼンドルファ(ピアノ)、初めて聞いた。

  11日、7月に亡くなった山科俊郎先生のお別れの会があった。
  毛利衛さんは、山科研究室の助教授時代の思い出に触れ
  「私が居た頃、大学はいまだ象牙の塔だった。山科先生はいつも、
  大学は社会の役に立つのでなければいけない、と言っていた」と話した。
  専門技術を駆使して空気中の粉塵測定を行い、脱スパイクの旗振りをしたり、
  札響の建て直しに奔走するなど、山科先生の幅広い活動を反映するかのように
  会場は熱気ある中高年男性であふれていた。
  「飲むために生きる、生きるために飲む」が口癖だったとのこと。
  そうね、世の中にはそういう、元気な大人の男たちがけっこうたくさん、居るんだな。
  若者たちは、なんだかとても、弱いな。

  13日、夏の「わいわい広場」で、日本の近代と屯田兵について講演していただいた
  永井秀夫先生が亡くなった。
  一度だけ、配布資料をいただきにうかがったことを思い出しながら
  歩いて5分もかからないご自宅へ、写真を届けにうかがった。
  3月の「すえ語り」公演のとき、八軒会館へ観にきてくださった折のもので
  本当にいいお顔をしていらっしゃる。生前に見ていただけなかったことが残念。

  厳しい寒さのなか、スタジオで演劇公演が続いている。
  真冬なのに、受付を屋外においてがんばっている。

  レッドベリースタジオはこの12月で、オープン5周年を迎えた。
  今月は31日のうち、25日間の利用があり、
   いち日に、午前、午後、夜と、3コマ利用もあった。  
  大晦日にも演劇公演がある。こんなことは初めてだ。
  おかげさまの盛況は、それなりの実績の反映と思いたい。
  
  5年前のちょうど今ごろ、雪の中を仮住まいから越してきて
  連日、おひろめパーティをやっていた。
  5周年はささやかに、小さな展覧会と気軽なパーティをする。
  
  ●レッドベリースタジオ5周年 ちいさなアート展  12月20日(火)〜23日(金・祝)
  ●5周年パーティ 12月22日(木) 18:00〜22:00 会費1,500円 
  特にアトラクションもなにもありませんが、飲みものとつまみを少し、ご用意します。 
  どなたでも、お気軽にいらしてください。


11月27日(日)  90歳まで生きたら

   お向かいの幼稚園の理事長さん宅から、大根と白菜をたくさんいただいた。
   どちらも新鮮で、大根はそのままかじっても、甘くて美味しい。
   小さめのつけもの樽(プラスチックの黄色いの)を買って来て
   母と一緒に白菜をふた玉、塩漬けにした。
   水が上がったら、昆布や鷹の爪を入れて、本漬けにしよう。
   
   昨夜は、ターシャ・テューダーの庭を取材したテレビを見た。
   ガーデニングの神様みたいな女性、本業は挿絵作家。
   90歳になるというターシャの、短い、分かりやすい言葉。
   自然から命のエキスを受け取って、大地を裸足で歩く。
   全く違う人生だと思うけど、フラメンコの長嶺ヤス子さんと
   何かが似ている。おそらくそれは、土の匂いだ。
   
   今年4月に、95歳を目前に亡くなった、荻窪の名曲喫茶「ミニヨン」
   のママ・深沢千代子さんも花が好きだった。
   「ミニヨン」は、学生の頃アルバイトをさせてもらったりした
   私の原点だ。5年程前、娘と一緒に店を訪ねたときも、
   「これはムスカリ、っていうのよね」と、紫のひと房を手に取りながら、
   ママは花の手入れをしていた。
   
   ゆっくりと深まり行く秋に、みごとな女性たちの人生を思う。
   ターシャは言う。独りで居るのが好き。わがままなのかしら。 


11月13日(日)  懐かしいまちで、ちいさな未知と出会う。

   この2週間、たくさん芝居を見た。
   ライブもひとつ。このライブ、ロックオペラと称し、不思議に演劇的。
   他方、朗読とお琴のセッションだったり
   短い芝居のブリッジにライブが組み込まれていたりする。
   以下はその一覧。
   10月31日 アシュラスクール ライブ
   11月1日  劇団さっぽろ「霜月夜話 よだかの星・星めぐりの歌」   
   11月3日  豊水西創成文化まちづくり倶楽部「すすきの6丁目 スナック・ハーバーライト」
   11月5日  TPS「亀、もしくは…」
   11月6日  当別町民劇「石狩川」
   11月7日  即興組合・キミヲブロック
   11月13日 二人芝居「セ・ラ・ヴィ」(松本直人+権藤利一)
   
   初めて足を運んだ空間がふたつ。
   スピリチュアルホールという、ビルの地下の小さな真っ黒なライブハウス。
   一度行ってみたいと思っていた、あけぼの開明舎。

   自分が動かなければ、未知の「もの」や、「こと」に出会うことはできない。
   そして久しぶりに、集中的に動き回ると、なぜか想い出あるまちに遭遇する。
   南2条西5丁目付近。北3条東2丁目付近。南10条西13丁目付近。そして当別。
   どの場所にも、これまでの人生のいくつかの局面が、重層的に刻み込まれている。
   つまり、縁のある場所には、幾重にも縁が重なる。
   もちろん、琴似八軒はその筆頭。


10月30日(日)  久しぶりに、少し、おしゃべりな気分。

   少し冷え込んでいる。それでも10月末としてはずいぶん暖かい。
   昔、4丁目プラザに勤めていた頃、「初雪クイズ」というのがあって
   「今年、札幌の初雪は○月○日」とはがきで応募してもらい、
   当たった人には、海外旅行とか、お買物券とか、豪華な賞品があった。
   その頃(20〜30年前)は、10月下旬の初雪がけっこうあった。
   やはり、温暖化なのかな。灯油が高いから、とても助かるけれど。

   今月のスタジオは、後半ずっと、演劇の利用が続いている。
   演劇空間として定着しつつあるが、この場所の持ち味は演劇以外にも生かせるはずなのだ。
   音楽や、映画や、造形や、討論や、朗読や、手作業や、etc.etc.
   そろそろ新しい企画を打ち出そう。これは、こちらからの仕掛け次第なのだから。

   日本の米に関する本を数冊読んだ。
   日本の古代史に関する本も数冊読みはじめた。
   きっかけは、偶然目にしたミニコミの、
   「日本のお札から、なぜ聖徳太子が消えたのか」という一言だ。
   そこからたぐりよせた「古代日本正史」(原田常治)という本。
   ふう〜ん、これはおもしろい。
   「狐」とか「扇」とか、吉野裕子の古代信仰に関する本は以前から好きで、
   それより、この際告白してしまうけれど、
   私、あの赤い鳥居のお稲荷さん、って大好きなのだ。(お寿しではない!)
   「ぼくの稲荷山戦記」とか、「我が家のお稲荷さん」とか、童話(?)も楽しい。
   で、全然ちがうけれど、いまや大ベストセラー「生きて死ぬ智慧」に続く
   柳澤桂子の最新刊「いのちの日記」も、説得力ありました。

   きょうお昼に同窓会の集まりがあり、
   伊藤千恵子さんとお嬢さんの郁美さんに三味線を弾いていただいた。
   専門の長唄「秋の色種(いろくさ)」はもちろんだが、
   超絶技巧が必要なため、めったに弾かないという伊藤さんのオリジナル曲「水連珠(みずれんじゅ)」
   他が好評だったことは、とても嬉しい。もっともっと色んな人に、伊藤さんの三味線を聞いてほしい。    


10月11日(火)  きょうはおめでとうの1日だった。

   更新が1日のばしになって、ついに2週間ぶり。
   寒くなりましたね。でも、日中は本当に気持ちのいい秋の空。
   
   札幌学院大・演劇とアートマネジメントの講義終了後、OB数人と、
   今週土曜日の「すえ語り ハーフアワー・ショウ」の打合せをしていた。
   そこへ朗報。シンゴ君の就職が決まった!おめでとう。この数ヶ月、ほんとにがんばったよね。
   さあ、みんなも続け! でも、道はひとつじゃない。何が幸運か、不運か、分からない。
   行きつけのレストランカフェ(?)「3ggs」でそんな話をしながら、
   ビールと、カルーアミルクと、カルピスと、コーヒーで、乾杯して、帰ってきた。

   娘の誕生日。きのうのことのように記憶している十数年前のあの日も、ちょうどこんな秋晴れ。
   夜半、突然の豪雨と稲妻を、夢うつつに見ていた逓信病院のガラス窓。
   
   JR琴似駅前のケーキ屋さんに寄って、バースディケーキは?とたずねると
   予約がいるという。でもよかったら、今すぐつくります、30分あれば、とのこと。
   それではお願いと待つこと15分。クリームをホイップする音がして、たちまち出来上がり。
   素敵におしゃれなチョコレートケーキを抱えて帰ると、
   父は小さなシャンパンとクリスマスめいた夕食を用意して、娘の帰りを待ってました。
   午後、通りすがりの親子の会話から、我が娘の誕生日を思い出したのだと言う。
   ほどなく娘、帰宅。おおきくなったなあ・・・・、おめでとう。


9月26日(月)  1年経った。あっという間の、1年。

   大学の後期授業が始まった。札大・文化環境論の第1回。
   後期は出来るだけ身近で、具体的な事例について話そうと思う。
   テキスト、というか、テーマを拾う資料として、
   先日、作成した「新すえ語り」の原作本、「島村すえ独り語り」を
   使うことにする。西南戦争で死んだ屯田兵の、つれあいのひとり語りだが、
   この中に、現在につながるたくさんのテーマがある。
   ここ数回は、札幌と明治維新、北海道をパンの国に(開拓使の産業構想)、
   札幌の都市構想、西洋文化の受容(ラッパと洋服)、札幌農学校と遠友夜学校、
   などについて、取り上げる。

   久しぶりのキャンパス。授業終了の17:50に、外はほぼ真っ暗。日が短くなった。
   夕焼けの空と、藻岩山頂の灯が、むしょうに美しい。

   地下鉄をひとつ先まで乗って北12条で降り、「みんたる」へ。
   何人かの、全く別系統の知り合い(であるはず)の人から紹介されて、
   一度行ってみたかったお店。
   あすは忠海光朔さんの1周忌で、どこか、忠海さんと縁のある場所で、
   縁のある人に会いたかった。
   このお店は、仔羊亭で何度か会ったことのある女性が
   昨年11月に開いた、ネパール料理とフェアトレード雑貨のお店だ。
   ドアをあけると、7月に円山の森を案内してくれたカメラマンの
   ハナフサさんが居た。彼も仔羊亭の仲間。うれしい。
   ギネスを一本飲んで、おしゃべりして帰ってきた。

   きょうは、不思議に何人も、懐かしい人と、思いがけなく会えた日だった。
   忠海さんが会わせてくれたのかな。


9月16日(金)  本屋さんはコワイ。

   9月中旬だというのに暖かく、むしろ暑く、しかしやはり「秋」の、心地よい一日。
   こんな美しい季節に、少しは「行楽」というようなことをしたり、懐かしい人と会ったり
   してみたいと思うのだけど、優先すべき諸々がありすぎて、実行しかねる。
   先日、某さんに「貧乏ヒマなし、だねえ」と言われたが、ほんとにねえ。

   「かがやけコトニ実行委員会」におしかけて、先日の「新すえ語り」公演の精算をしてもらう。
   そのお金で、キャスト・スタッフの支払いをおおかた終えたが、立て替えた10数万円は
   未だ回収できず。

   きょうは山科俊郎さんの49日だった。どこからも、何もご案内がないので、自分なりに
   何かしたいと思っていたが、果たせず。
   ここにこう、書くことだけが、あの、今となっては懐かしい日々への感謝の表明。

   ヨドバシカメラで「ウィルスバスター2005」を買う。
   ここ数年、「ノートン・インターネットセキュリティ」を使ってきたが、
   7月に契約更新でバージョンアップして以来、あれこれ不具合がひどく、
   仕事が滞ってかなわないので、購入したばかりでもったいないけれど、捨てることにした。

   ちえりあの講座のテキストに「夕鶴」の一部を使いたくて、久しぶりに紀伊国屋に寄った。
   目当ての文庫は見つからず、分厚い「ブレヒト全書簡」を買った。予定外だが、ぜひ手元にほしかった。
   おもしろい。ようやく、ブレヒトって、どんなことを考えていたのか、手がかりが出来た気がする。
   ほかにNHK放送大学のテキストを3冊買う。
   いくらでも欲しい本があるなあ。やはり、本屋には行っちゃいけない。   


9月6日(火)  終了、そしてはじまり。

   ごぶさたしました、お変わりありませんか?
   8月28〜30日の夜なべ談義、9月1日、2日の「新すえ語り」公演を終了。
   コトニのまちのお祭りもとどこおりなく終了しました。
   諸々の事後処理は、まだまだ続くものの、   
   一息ついてあたりを見回すと、もうすっかり、秋ですね。

   さてきょうから、毎週火曜日夜4回で、さっぽろ市民カレッジ「楽しみ発信!ボランティア芸人に
   トライしよう」(於宮の沢ちありあ)という講座が始まります。講師をお引き受けしたのですが
   1回2時間で、4回目の最終回には発表会をするという、ちょっと(かなり)無謀なプラン。
   いかが、あいなりますか。さあて、お立会い!

   来週は母校学長が講演で来道し、同窓会道支部として懇親会の席を設ける。
   月末からは大学の講義が始まる。
   来月上旬に日本演劇学会シンポジウムの仕事があり、
   中旬には、アトラクション版「すえ語り」公演がある。
   うそっぷの会の新作稽古も始まる。
   終了した諸々のフィードバックが十分に出来ないまま、
   年度後半が始動する。
   
   それにしてもここ数年、9月は、良くも悪くもエポックメイキングな季節。
   今年は何か楽しい出会いがあるといいな。


8月14日(日)  あちらとこちら、境目が見えにくい。
   
   盆おどり歌が聞こえています。今日から3日間、八軒西公園恒例。
   ご無沙汰しました。

   きょうは、母校(高校)のOBオーケストラを聞きに、Kitaraへ。
   今週は2回目。9日に、同じ高校の現役オケ定演があり、
   夏休み返上でがんばってる娘の成果を見に(聞きに)でかけました。
   
   「S君?」小学校からずっと同級生の変わらない笑顔。
   「弾かないんですか?」1年後輩の懐かしい面々。
   「娘がいま、現役で弾いてるの。」なんだかうれしい、この決めセリフ。
   同じ校歌。同じ部活。世代を超える、こんなつながりも、ありがたい。
   
   Kitaraの座席で、先月30日に亡くなった山科俊郎さんをしのんだ。
   1990年、このコンサートホールの建設計画に対応して、
   市民の立場からアイデアや要望をまとめた提言団体・STP(さっぽろシアターパークプロジェクト)
   の代表幹事として旗を振った。私は事務局常勤として数年過ごした。
   この素敵な空間で、世界の巨匠から子供たちまで、
   音楽の至福を味わうことが出来る現在のありようは、
   あの頃、私たちが目指したことを、おおむね実現していると、
   言って、いいですよね、山科先生?
   
   お盆です。盆おどり歌が、ますますにぎやか。
   きのう、平岸にお墓参りに行ったら、親戚のみなさんにばったり。
   おととい、遠縁の方が亡くなったという。
   それで先ほど、81歳の母が兄弟を代表してお通夜に出かけたところだ。
 
   だんだん、生きている人と、亡くなった人の区別が、
   とっさに、分かりにくくなってくるようだ。
   一瞬のちには、「ああ、亡くなったんだった」と、分かるんだけど。
   すごい夕焼け。湿度も気温も、まだ高い、夏の終わりの濃密な夕焼け。
   みなさん、戻ってきているのかな。 

   今夜は「すえ語り」稽古の間隙をぬって、劇団極がスタジオで稽古中。
   そんなあれこれ、きょうはゆっくりと味わっています。
   なぜって、夕食の支度を、きょうはつれあいに頼んであるので。


8月1日(月)  いい時間。

   タイトルの色を変えてみました。ふう、ちょっと、涼しくなったかな。
   さすがに扇風機を使っています。熱中症にならないように、水を飲まなくちゃね。

   娘が部活の合宿で3泊4日の不在。この3日間は、ある種、非日常の夏休み。
   深夜、めずらしくビデオでも見ようかと、数少ない手持ちビデオのひとつをとり出した。
   「ベニスに死す」。昔見たとき(というのはいつだろう、もう30年以上前か)
   ずいぶん、印象が違う。かなりの部分、忘れている。その分、新鮮だった。
   老音楽家の美少年への恋。疫病をひた隠しにする観光地ベニスの不穏な空気。
   映画を見る時間はめったに取れないが、いい時間でした。

   もうひとつ、いい時間。
   琴似のバー・ディバージョンで、本格リアルエールを扱うことになり、
   昨夜はそのおひろめ。ちなみに、こんなビール。
    http://www.realale.jp/
   すっと無理なく、のどになじむ。ふんわりと香りがするのは、何かな?
   う〜ん、美味しい。北海道ではここだけ、独占取り扱いです。
   カウンターにどんと置かれたスペイン産骨付き丸ごとハムも、絶品!
       これから定番メニューになるそうです。

   「新・すえ語り」稽古、快調。西脇さんの演出、面白いなあ。
   若い役者たちにとって、とても貴重な時間。   


7月23日(土)  備忘録

   23日  11:00〜12:00 三角山放送局で「かりんずたいむ」生放送。ゲスト浦竜也くん。
        14:00〜16:30 うそっぷの会定例稽古。講師山口成子さん。
        17:00〜20:00 中学校の同窓会、すすきのにて。
   
   22日  8月末の「夜なべ談義」チラシつくり。内容の確定。
        9月の「新すえ語り」公演、仮チラシを八軒まちづくりセンターで印刷、1,500枚。
        18:00 地下鉄琴似駅地下パトスで、チラシ折り込み作業、400枚。
        
   21日  夜、「新すえ語り」キャスト初顔合わせ、読み合わせ。

   19日  札幌学院大・演劇とアートマネジメント前期講義終了。
        琴似「風」に寄って、割り水を3杯。

   18日  午後、山口成子さん宅を訪ね、うそっぷの会の今月30日の発表について、
        構成を相談、BGMをセレクト。
  
   17日  午後、学院大の劇団サンズサン公演を見に大麻へ。

   16日  スタジオは丸1日、北大落研が使用。14:00〜17:00過ぎまで延々と公演。
        昼、西高祭のオーケストラ・ミニコンサートを聞きに行く。
        夕方のJRで恵庭島松へ。夢創館で二反田岳水さん、斎藤紫水さんの琵琶と語り、影絵の公演を見る。
         
   15日  市内コミュニティFM4局同時放送出演のため、東札幌の市民情報センターへ。
        八軒連町会長、まちづくりセンター所長とともに、昼から夕方まで。
        夕方、カメラマン英さん、先日撮ってくれた、庭のカリンズの写真を届けてくれた。
        身ぶるいするような美しさ。        
        夜、西高祭行灯行列を見に、山の手まで出かける。
 
   メモすれば、たったこれだけの日々。
   その空欄に、山のような準備、段取り。家の仕事や雑用。突発事態。
   家を出て、まちを歩く。JRでどこかへ向う。嬉しい時間、私の時間。
   ラベンダーの香り。バラの深紅。夜明け、昼の陽射し、夕暮れ、月、みんな美しい。
   でも、このところ、食器を洗うのがなぜかひどく、苦手なのだ。


7月13日(水)  演劇の力 

   インターネットのセキュリティシステムが、間もなく契約切れになるというので
   更新手続きをしたら、パソコンがひどく不安定になって、
   ホームページビルダーが使えなくなってしまった。
   あれこれ問い合わせ、あちこち設定を変え、
   インストールしたり、アンインストールしたり、がんばった結果、
   なんとか使えるようになりました。でもまだ、しょっちゅうフリーズする。
   やれやれ。

   というわけで、1週間のご無沙汰でした。
   10日、ギリヤーク尼ケ崎さんの青空舞踊公演。
   恒例の丸井今井前歩行者天国にて。
   今年のギリヤークさんは元気、元気!バリバリです。
   昨年、ちょっと疲れが出ていて心配だったけれど、
   今年は、3本目の映画(ビデオ)製作にとりかかっていて、
   沖縄に行こう、尼崎にも行こう、踊りの新作をあと2本つくる、
   本も書くと、驚くほど意欲的だ。踊りも、すごくよかった!

   同じ10日、若い人の芝居を2本、見た。
   みんな、がんばっている。
   6月の初めにレッドベリーで見た芝居も良かった。
   どれもオリジナル作品で、見ていてちょっと辛くなるような、
   重い、深刻な内容もあるのだが、どれほど病的要素が含まれていても
   芝居は、人に見てもらう段階では心身をニュートラルに整えて、
   しっかりと表現しなくてはならない。
   その、表現すること自体によって、各個人が抱える問題の重さに
   正面から向う力が、生まれるのだと思いたい。
   
   身の回りにたくさん、心や身体を病む人たち、障害を抱える人たちが居て
   病や障害と共に歩む私たちの時空で、芝居や表現は何が出来るのだろう、
   と、いつも考えてきた。   
   もう7〜8年、いや10年近く、仲間と共にこのことを考え続けているのだけれど
   このところ、昔よく話し合ったシンプルなモットーを思い出している。

   芝居づくりはまず、楽しくなくちゃ。
   そして、芝居は「癒し」や「自分さがし」に終始してはいけない。
   やはり、そうだな。
   (但し、コミュニティアートの場合。
   いや、本質的には、ハイアートも、コミュニティアートも同じなはずだけれど)

   ロンドンの地下鉄テロの実行犯は、リーズ在住だったという。
   「WYPH:ウェストヨークシャープレイハウス」がある町だ。
   新しい理念に基づいた公共劇場の世界的モデルとして有名、
   札幌にも、主だったスタッフがやってきて、話を聞いたことがある。
   そんな苦悩を抱えた街だったのか。    


7月6日(水)  復帰しま〜す!

   お久しぶりです。
   この10日間は、熱が出たり、ボイラー水もれで床が水びたしだったり、
   うちの猫がなぜか急に、4日も飲まず食わずでとても心配したり、
   エトセトラ、エトセトラ、超あわただしテンコ盛りの日々でした。
   月火の大学講義も、前期あと1〜2回を残すばかりとなり、
   少しほっとしている水曜日です。

   さて、八軒物語・すえ語り再演の脚色第1稿が出来上がり、
   キャストが決まりました。
   主人公すえ役は初演と同じ、佐藤亜紀子さん。
   脇は、今回2名になり、初演にも参加した斎藤玲史くん(札幌学院大学生)と
   フリーで演劇活動をしている吉江和子さん。芝居がやりたくて、小樽での
   会社勤務を辞めて札幌へ転居したばかり。
   未知数の若い二人を交えて、西脇秀之さんの脚本、演出で、
   新しい「すえ語り」が始動します。さあ、急いで情宣に取りかかろう。

   この春、学院大を卒業して就職したTくんが、3ヶ月で仕事を辞めたらしい。
   辞めたというか、訓練・研修機関から逃走してきた(?)のかな。
   深くあこがれた仕事だったはずなのに、就職難の仲間、後輩にとって
   心強い先達だったはずなのに、どうしちゃったの〜?
   いや、長い目で見れば、この決断で命拾いしたのかもしれないし、   
   別のところでこの経歴が生きるはずだし、いいんだけどね。
   何も力になれないのが残念。おちついたら、話を聞かせてほしい。

   円山公園の一隅に、とても大きな桑の木があって
   小さなかわいい桑の実がた〜くさんなっている。
   白から赤、赤からほとんど黒に近い紫に、色が変化して、
   黒くなると甘い。
   きのう、あらためて見ると、八軒小学校の桑の木にも、
   少しだけ実がなっている。
   「すえ語り」のせりふに、ひとこと桑の実が出てくる。   


6月26日(日)  ミエル、キコエル、ワカル、ツタワル?

   このところ、なんだか気持ちがウロウロして、自分が何をしてるのか、よく分からない。
   いや、ちゃんと仕事してますよ。
   昨日は、三角山放送局で「かりんずたいむ」を放送したし、
   おとといは演劇財団の評議員会だったし、
   その前の日は、スタジオのフローリングを徹底掃除。
   スタジオの合宿利用が入った晩は、なんだか一晩中、落ち着かない気分だったし。
   その前の日は「はちけん地区センター」建設に関する住民の会議で、
   壁の色について、私が好きだった色が否決されて残念だったし。
 
   そうか、暑くてバランスをくずしていたのでしょうか。
   きょうあたり、涼しくなって、あれこれ片付けものをしたら、少しすっきり。

   ヘレンケラーについての本を、あらためて読んでいる。
   サリバン先生の手紙とか、10年前にイギリスで書かれた伝記とか。
   見えること、聞こえること、と、人間が「ことば」を獲得すること、に
   どんな関係があるのか、知りたい。
   脳、知覚、記憶、意識、といったことに関する本も、あらためてあさっている。
   先日来、ろうあ者劇団・舞夢の演出をした安念さんと、そんな話をしている。
   アメリカでは、ろう者をひとつの民族として認めよ、という運動が始まっているという。
   うそっぷの会では、2年後の10周年に向けて、あらためて作品の方向性や
       視覚障がい者がこの活動をしていることの意味を問うミーティングを重ねている。


6月21日(火)  声でことばを聞く、という楽しさ。

   夏至です。暑くなってきました。きょうは27度になるそうです。
   ビールがおいしくなる! と考えよう。

   18日(土)小樽・あとりゑクレールで、白坂道子の朗読を聞いた。
   かねてから、一度ライブで聴いてみたいと思い、ようやく機会がめぐってきた。
   NHK札幌から出発して、朗読のひとつのスタイルを確立した第1人者。
   朗読や放送劇、声優の系譜は、いまも札幌に受けつがれていて
   今現在、複数のNHK札幌放送劇団OBが、朗読の指導、発表活動の中心である。
   
   白坂の朗読は、まず第一声の声量に圧倒された。
   低くおさえた、むしろ無機質なイメージを持っていたが、ずいぶん印象が違う。
   闊達で、パワフル。生き生きと役柄を演じ分ける、攻めの表現。
   現場を戦っているバリバリの現役、という押し出しが爽快。
   藤沢周平「橋ものがたり:約束」という作品も、その意気込みを受けて立つ
   すてきな選定だ。余韻とともに充足感をいただきました。

   レッドベリーでも定期的な朗読の催しを、と考えつつまだ実現していないなあ。
   小説家・佐々木譲さんが17日の日記で、オーディオブックや朗読に言及している。
       http://blogs.dion.ne.jp/sasakijo/


6月16日(木)  現れ出でよ、幻の。

   出雲の阿国、について知りたいと思う。
   歌舞伎のはじまりは、400年前、都をわかせた阿国のストリートパフォーマンスだ。
   阿国とはどんなひとだったろう。どんな出自が想定できるか。当時の都はどんな風だったか。
   いまさら、ありふれた、と言えば言えるが、知りたくて、資料をあさりはじめると、
   すでに持っている本の中にもたくさんの記述を見つけることができる。
   有吉佐和子「出雲の阿国」。分厚い文庫の上下巻を読み始めた。
   この人の本が面白いのは、芝居や芸事に造詣が深い、というか、好きなんだな、と思う。
   並行して、赤坂憲雄「異人論序説」を読む。
   時空を超えて、阿国が姿をあらわしてくれますように。


6月15日(水)  ビタミンCを大量摂取

   東京から風邪を持ち込んだらしい。
   ホテルの乾燥、空調過多などが原因か?
   夜中に起きだして調整したのだけれど、手遅れだったか。
   せきがでて、胸が苦しい。
   
   ともあれ、何かしらひとこと書くフットワークを取り戻すべく、風邪の話、でした。


6月14日(火)  雨の渋谷は映画「ブレードランナー」の雰囲気だった

   渋谷でコクーン歌舞伎「桜姫」を見てきた。中村橋之助、福助兄弟が出演、演出は串田和美。
   150年前の鶴屋南北作品「桜姫東文章」を、30数年前、郡司正勝先生が復活上演して以来、
   たびたび上演されるようになったという作品で、なんとも荒唐無稽な筋立て、人物設定の作品。
   歌舞伎って本来はこんな風なものだろうな、という感じの、猥雑で生々しく、毒気や活気に満ちた舞台だが、
   さすが「上海バンスキング」の演出家、現代にマッチする華やかさ、情緒が盛り込まれている。
   「芝居は泥場ですから」。郡司先生の言葉の端々を思い出した。

   芝居のあと、道玄坂あたりで30数年来の友人と会った。
   3週間ほど前の夜、同年代の知人が亡くなってお通夜だった、と電話をくれた。
   会社の経営も大変のようだ。
   「人生、残り少ない」という気分になっているみたい。
   元気を出して、身体を大事にして、と、口に出しては言えなくて
   結局、おごってもらっただけで、なにもできない。   

   上京の目的は、母校同窓会の全国支部会代表者会への参加だった。
   大学はいま、どこも経営がたいへん。特色ある教育でアピールして学生を集めるだけでなく
   やはり、多くの寄付を募る仕組みをつくらなければならない。
   年1回、交通費、宿泊費を支給して支部から人を集め、2日間びっしり会議を組むのは、
   それなりの、必死の期待があるのだろうけれど、どこまでそれに答えることが出来るかな。
   留学生のホームステイ受入先を探してほしい、というような要望は、
   特に北海道に、期待が集まっているようだ。う〜ん、どうしよう。

   それでも、相変わらず美しく整備されたキャンパスを散策し、2年間過ごした寮の窓を仰ぎ
   私が居た頃には無かったチャペルのパイプオルガンを聞くと、
   自分自身の現在につながる何かが、確かにここにあるような気がしてくる。
   できるだけのことを、としか言えないけれど、ちいさなことから、少しずつ手がけようか。


6月9日(木)  ふたたび、香りのしあわせ

   ごぶさたしました。
   このところ、屋外が楽しくて。といっても、どこにも出かけるわけではなく
   家のまわりであれこれ遊んでいます。
   プランターを持ち出して草花を植えたり、ハーブを植えたり。
   このあいだ山の手のホーマックから買ってきた、ローズマリーとタイムね。
   お隣からもらってきた青ネギもおもしろい。先端に出来るネギボウズを取って
   土に埋めておくと、そこからまたネギが出てきます。
   昨日は、日陰にあった山椒を一株、樽にあげました。
   山椒の香りは、ほんとうに大好き。いつも気付けに嗅いでいたいくらい。
   日当たりのいいところに出してあげましょう。
   あのすてきな緑は、観賞用にもなるし。
   アゲハチョウの幼虫がついちゃうと、若葉を全部食べちゃうから
   ほんとに困るのだけど、黄色と黒のみごとな縞の堂々たる幼虫は
   なかなか駆除しがたいのですよね。
   
   で、夕方になると、このところ気にいっているとても小さなビール(160ML)
   SHOT BEER(銀河高原ビールが出している)を、プチッとあけます。
   娘曰く、「その音を聞くと、あ、もう夕方なんだな、ってかんじ」。
   黒い缶のスタウトと、白い缶の地ビール風と2種あって、おいしいです。
   1缶130円は高いけど、最近、ビールはほんの一口で充分だから。
   
   明日から2泊で東京へ行ってきます。
   同窓会の仕事で、旅費が出るのだ! 久しぶりの母校で会議です。


6月1日(水)  素敵な演出家が来てくれることになった。

   「八軒物語」再演の演出家が決まった。
   3月に初演した「亘理渡来記 すえ語り」、原作は八軒在住の岩沢健蔵さん。
   これを舞台で上演できる台本に脚色構成して、初演を実現してくれたのは萬年俊明さん。
   そして今回、さらに作品世界を広げる9月の再演にチャンレンジしてくれるのは
   劇団回帰線の西脇秀之さん。

   西脇さんは札幌(篠津)在住で、いま急上昇中の劇作家、演出家。
   といっても、回帰線は1992年旗揚げで、それ以前もふくめるとすでに15年あまりの
   地道な活動実績がある。戯曲「ホーム」で平成15年度文化庁舞台芸術奨励賞を受賞。
   札幌に足場をおくプロフェッショナルな演劇人として、新たな一歩をふみだしたところだ。
   
   「八軒物語」は、おおむねボランティアで形成されるコミュニティアートだから、
   プロとして立とうとする西脇さんにふさわしい場とは言えないかもしれない。
   しかし、地域でつくる等身大の表現活動の中からすぐれた作品が生まれ、
   地域の支援に支えられてアーティストが素晴らしい仕事をする、といういう理想にむけて
   ひとつのモデルケースを実現することが出来るかもしれない。
   そんな夢をかかげて、西脇さんの力をお借りしたいと思う。
   楽しみであると同時に、気を引きしめなくては・・・。