三角山放送局「かりんずたいむ」2006年8月26日放送    「かりんずたいむ」TOPへ戻る 
岩沢健蔵追悼のためのメモ

オープニングテーマ  IN〜BG

三角山リレーエッセイ、11時台は飯塚優子がお届けします。
 こんにちは、「かりんずたいむ」です。
 
この夏はこころゆくまで暑さを堪能しましたか?
今年は夏が来ないんじゃないかしら、なんて心配した時期もあった
大通公園のビアガーデンも大賑わい 
今週の初め頃、わずかに陽射しが変化、久しぶりの雨
ここ2〜3日は、秋の気配。
あっという間に、来週はもう、9月です。
1日1日の大切さが、あらためて身にしみる、夏の終わりです。 

今日の一曲目  
M1.「煙が目にしみる」ザ・プラターズ

きょうは、最初にお話しなければならないことがあります。
今年1月〜6月まで6回にわたって、
おしゃべりコーナー「八軒散歩」を担当していただいた
岩沢健蔵さんが、先週、8月15日に亡くなりました。
きょうは、岩沢さんへの追悼の気持ちをこめて放送したいと思います。

この時間で何度もご紹介したとおり、
岩沢さんは、2004年の春から「八軒物語」を一緒につくってきた仲間のひとりです。 
岩沢さんが書き下ろした「島村すえ独り語り」を原作として2本の演劇が生まれました。
去年、2005年の3月に八軒会館で上演した「亘理渡来記すえ語り」
そして9月にパトスで上演した「新すえ語り」です。

岩沢さんは5年程前、胃がんの手術をしました。
この闘病生活から復帰した2004年の春、
たまたま「八軒物語2003」を見てくださったことがきっかけで
屯田兵の妻として琴似に住みついたすえばあちゃんの物語を
書いてくださいました。

レッドベリースタジオでの芝居の練習にもしばしば顔を出して
本当に楽しそうに練習を見守り、
細かい部分まで、時代考証や、歴史的な整合性を調べて
アドバイスしてくださいました。
去年2005年6月に、癌が再発して手術。
秋の公演で、2年に及ぶ「すえ語り」の活動をいったん終了したあとは
次の八軒物語の構想をあれこれ話し合ったり、
この「かりんずたいむ」に岩沢さんのコーナーをつくって
おしゃべりをしてくれませんか、とお願いしました。
抗がん剤投与のために、病院と八軒のご自宅を行き来するなかで
この放送だけは絶対に続ける、と楽しみにしてくださって
1月と2月は、泰信ビルの、古いほうのスタジオで放送しました。
3月、4月は、レンガの館に移った新しいスタジオに
おじょうさんや奥様に付き添われて来てくれました。
5月と6月は、私がMDレコーダーを抱えて病院をおたずねして
お話を録音してきました。
そして、先月、7月は1回だけ放送を休みたい、4週間後には必ず
復帰するからと、しっかりした声で電話をいただいたのが、
お話をした最後になってしまいました。

きょうは岩沢さんが好きだった曲や
お話に関連する曲を選んでみましたが
2曲目は映画「カサブランカ」から「時の過ぎ行くまま」

M2.「カサブランカ〜時の過ぎ行くまま」

曲の途中、BGMにしてお聞きいただいた岩沢さんの声は、5月放送の
「岩沢健蔵の八軒散歩」で岩沢さんが映画の話をしたときの一節です。

岩沢さんは本当に映画が好きで、映画の話をしたら止まらない。
特に第2次大戦後、岩沢さんの青春時代には、この「カサブランカ」をはじめ
アメリカの大ヒット作品が続々と公開されています。

5月放送の映画談義は、「カサブランカ」と「風と共に去りぬ」について。
どちらもちょっとひとひねりの岩沢さんらしい「うんちく」で
15分のはずの「八軒散歩」が25分くらいにのびて、あせりました。

「カサブランカ」について、岩沢さんは
普通、ハンフリーボガードの男の美学がカッコイイ、トレンチコートがかっこいい、
メロドラマとして語られることが多いけれど、
この映画には、ナチスドイツに抵抗するメッセージが
色々と、たくさんちりばめられている、というお話をしていましたね。
ご記憶でしょうか?  

ところでゆうべ、仕事のあと、琴似のバーに立ち寄りました。
そこでたまたま、この映画に出てきたシャンパンに出会いました。
マム・コルドン・ルージュ  赤い帯というか、リボンがデザインされた
特徴あるボトルです。
ちょうど、先ほどおかけした「時の過ぎ行くまま」という歌が出てくる
リックの酒場のシーンで
ハンフリーボガードとイングリットバーグマンがグラスを合わせるのが
このシャンパンなんだそうです。機会があったらDVDでも見て
確かめてみようかな
岩沢さんが居たら、勿論覚えていて、喜んだだろうな、と思いながら
味わいました。

岩沢さんは、本当にお酒が好きでした。
抗がん剤の治療が一段落したら琴似で一杯やろう、
副作用が収まったら、またみんなで一杯やろう、というのが
口癖でした。
日本酒でも、ワインでも、ビールでも、本当に美味しそうに飲みました。
東京育ちの岩沢さんは、どこか粋というか、ダンディーというか、
何かにつけてカッコイイところのあるひとで、

抗がん剤の副作用で脱毛が始まった今年1月にいただいたメールを
ご紹介しまししょう。

どんな新年をお迎えでしょうか?
ぼくはほぼ正常な体調で、かなりお屠蘇も入れながら3が日を送りました。
気分も食欲もそこそこにあります。
ひとつだけ、見た目の変化は、早くから予告されていた
脱毛現象が始まり、あらかじめ決めていた通り、昨日、
八軒会館となりの「うえまつ理髪店」で丸刈り坊主にしてきました。
うえまつのおかみさんは旦那同様に職人かたぎの人で
「坊主刈り」というのは意外に職人のウデが見えるもんですよ、とか言いながら
丹念にバリカンを動かし、仕上げを確かめながら「葛飾北斎みたいだ!」
と、自分の仕事に歎声をあげていました。

近美で一昨年「片岡球子展」があり、そのい面構えシリーズというのが
展示されていましたが、たしかに北斎の顔がありました。確かに似ている!
こりゃ最高の褒めコトバだとウハウハして帰宅しました。
ま、そのうちお見せします。
二〇〇六年が佳い年でありますよう。よろしくお願いします。


今年お正月の、年賀状代わりのメールです。

曲はグレンミラーオーケストラで「茶色の小瓶」。
4月の放送で、岩沢さんはこれをかけたいと言っていたのですが
調達できなかったので「真珠の首飾り」をかけました。
古い録音で、ちょっと音質がよくないですが
最近は映画「スウィングガールズ」なんていうのもヒットして
こういう音楽がまた、新鮮ですね。

M3. 「茶色の小瓶」       


きょうは、岩沢健蔵さんを追悼してお届けしていますが
岩沢さんが遣り残したこと、私たちが聞いているだけでもたくさんあります。

1. 自分の病気について、癌について話したい
私小説的なのはイヤだ
からっと、すっきり、病気について語ってみたい 

2. 岩沢さんに、言葉の仕事をもっとしていただきたかった
はりのある、いい声
実はアナウンサーを志して、試験にも合格していたのに
肋膜炎を患っていたため就職できなかった
その年来の夢を、ほんの少しだけこの「八軒散歩」で
実現してくださったのかな
ふだんはしっかりした標準語
何かの時に、たとえば役者の芸談を語るようなときに
東京生まれの江戸っ子言葉が出る。
それを何かの形で録音したい
なにか、いい本はないか。実現せず。

「すえ語り」は脚本化して演劇になったけれど
自分なりの読みかた、語りを、やってみたい。
ボランティアとして読み聞かせのようなこともやってみたい。

3. もう一度一緒に「八軒物語」を作りたかった
色んなアイデア

明治中ごろ、琴似の屯田兵村が解体していくプロセスで
分村問題、大きな争いが起きた  それを芝居にしたい

屯田兵にこだわらず、吉本系の笑わせるもの
40階建てのてっぺんに タイムスリップして
明治維新の頃の、なぜか英語ペラペラのばあちゃんが降り立つ

手稲山と藻岩山と三角山
実は3人の神様の恋の鞘当の結果 こうなっているという創作民話
大和三山の例がある  万葉集からヒント   

曲は「紅の翼」これも映画音楽
岩沢さんは、戦艦とか、戦闘機とかに詳しくて
残されている船や飛行機を見にいくと
いつまででも見ていたそうです。

M4.「紅の翼」   

岩沢さんがやりたかったこと、もうひとつ

教育、教えるという仕事
北大の事務官、事務局長として33年勤務
その後、私立の大学に10年
6月の最後の放送は、大学について
昨年12月はじめ  札大講義
「すえ語り」をテキストに使っていたこともあって
教室に来てお話をしていただいた
学生への愛情にあふれていた
そんなことも、岩沢さんがもう少しやってみたかったことの一つではなかったか  

愛情を抱いていたもの、もうひとつ
岩沢さんは本当にこの町が気に入っていた
昨年9月「新すえ語り」公演パンフレットの岩沢コメント

八軒西の我が家の窓から、百松沢岳が見える。
三角山や手稲の嶺に繋がっているように見えるが距離ははるかに遠い。
山というより山塊に近く、冬山スキーには格好らしいが、
登って楽しい山でもないようで話題にされることもない。
ただ、てっぺん付近の樹木がまばらなために、
晩秋の冠雪や初夏の樹木の色づき具合などが、近場の山より良くわかる。

ぼくは八軒に住み着いて12年ほどになるが、
いつのまにか、この山の四季の変化を屯田兵たちの目で眺めるようなくせがついた。
ここでは、彼等の郷里より春は2か月遅く、冬は同じくらい早く、しかも厳しい。
会津も亘理も北国ではあるが新暦5月には田の水がぬるむ。

あの山を見ろ、と誰かが悲痛な叫びをあげたであろう。
真冬のままの雪が残り、土は頑強に彼等の粗末な農具を跳ね返した。
おれがその仲間だったら、どうだったろう。
10年以上、朝に晩に百松沢の山頂を眺めつつ、そんなことを思い続けているうちに、
こんな物語を書いてしまった。

「新すえ語り」パンフレットの岩沢さんの文章をご紹介しました。

岩沢さんは選曲を楽しみにしていました。
「死刑台のエレベーター」をかけたい、でもちょっとラジオには暗すぎるね。
おなじマイルスのトランペットで比較的短めのこの曲をお聞きください。

M5.「タイム・アフター・タイム」マイルスデービス

赤い実企画とレッドベリースタジオから、催物のご案内とお知らせをお届けする
「レッドベリー通信」
  
9月のレッドベリースタジオから
    あちゃら こちゃら しすてむ 芝居公演
    ハローコンサート 三味線とピアノ
  
もうひとつお知らせ
この秋からレッドベリースタジオ会場使用料が少し変ります。
  詳しくは間もなく発表、11月お申込み分から、少しだけ値上げ。
  もし、スケジュールが決まっている方は、お早めにお申込みを。
  1年先まで予約可能。
同時に「レッドベリーポイント」というのを始めます。
  どんどんポイントがたまって、貯まったポイントはどんどん使える
  とってもお得なシステムです。
八軒はコンカリーニョもいよいよ本格的に稼動します。
レッドベリーも頑張らなくちゃ。
  

岩沢健蔵さんを追悼してお届けした「かりんずたいむ」
まだまだ岩沢さんと一緒にやりたかったこと、遣り残したことがたくさんありますが
これから私たちで少しでも実現していきたいとおもいます。
岩沢さん、どうぞ見守って、力を貸してくださいね。

岩沢さんのご冥福を心からお祈りして、
フジ子・ヘミングで、「愛の夢」をお聞きください。
  
M6.「愛の夢」 フジ子ヘミング

M.エンディングテーマ「ケセラセラ」2:05

11時からお届けした「かりんず・たいむ」 
毎月第4土曜日にお届けしています。次回は 9月23日 秋分の日